Sachsen-Anhalt ザクセン=アンハルト州 の選挙(logo! 子どもニュース番組から)

くらし

先日、地域のサッカーチームに所属している夫が、試合に出るための登録をしました。第何部リーグになるのか知りませんが、公式の試合に出ることができます。

試合登録料や、ユニフォームなどの維持費を支払って、試合の前日のこと。試合に出るのは全く初めての夫は、何を持っていくべきか、チームのメッセージアプリ WhatsApp で尋ねました。

レガースなど、気がつかなかった情報を教えてくれるチームメイトもいれば、おもしろがって、靴を忘れるなよ、サッカー用だぞ、スマホもだぞ、家のカギも忘れるなよ、などと茶々を入れる仲間たちもいます。

いよいよ試合当日。ユニフォームに着替えていると、とつぜん横から、真顔で、「お前には出場資格がない!」と言われたそうです。びっくりして、資格のための準備は全部した、なぜか、と尋ねると、「お前は腹が出てないから」だと。

技術は全く足りない夫ですが、指摘されたとおり、腹が出ていない身軽さのおかげで、幸いにも、しつこく走り回ることだけは出来るようです。

コート入りする瞬間には、友人でドルトムント・ファンのチームメイトが、香川真司の応援歌を歌って、「Shinji!」と応援してくれたそうです。

ポジションは、なんとフォワードだったそうです。理由は、お前は「不愉快」だから、だとか。ビール腹をした相手チーム選手たちを出し抜き、得点できたといって、足を引きずりながら、大満足で帰ってきました。

さて、今回は、いまドイツ中の関心を集めているザクセン=アンハルト州の選挙について、書かなければならないと思っています。

AfD アー・エフ・デー(ドイツのための選択肢)という政党が、過半数に迫る票を獲得したことで、国中が動揺しています。

ザクセン=アンハルト州の有権者数は、ドイツ人口のわずか2%なのですが、選挙前から、たいへんな注目を浴びていました。

logo!(子ども向けニュース)では、選挙の数日前に、現在の州首相の CDU党トップ Sven Schulze シュルツェ氏(写真左)と、AfD党の院内総務 Ulrich Siegmund ジークムント氏(写真右)の、両者にインタビューしましたが、この放送が、批判を集めました。

右翼過激派であると、治安本部から判決を受けた党(AfD)を、判断力の未熟な子どもたちの番組に出演させたこと、そのなかで、歴史すり替え発言(過去の反省と追悼の文化に対する攻撃)をさせたことなどが、批判されました。

そして、投票当日の logo! の放送は、まさにその ザクセン=アンハルト州からの中継でした。

番組では、ザクセン=アンハルト州はどんなところなのか、その見どころを、子どもたちといっしょに回って紹介していました。その後、今回の選挙について、子どもたちの質問に答える形で、番組が進められました。

ドイツ最古の初期ゴシック様式のマークデブルク大聖堂。右奥に見えるのは エルベ川。
ハルツ山脈のなかの ブロッケン山は、「ブロッケン現象」(太陽光を背後から受けると、眼前の霧に自分の影が大きく映し出される)で有名。
ハレにある先史博物館では、「ネブラ天文盤」のオリジナルを展示(ベルリン通信博物館には レプリカがあった)。

なぜ AfD が議論の的になるのかを、logo! ではこう説明していました。

AfDのなかには、難民などに対するヘイト・スピーチで人々を煽り、恐怖や憎悪を政治に利用している党員がいる。
仮に、AfDの得票が過半数を超えて、単独で政権についた場合、ほかの政党の意見を聞かずに、憲法を書きかえる可能性がある。
たとえば、ドイツ基本法で保障されている基本的人権を、難民などには認めない。(logo!の数日前のインタビューでは、難民の子どもたちは、一般のクラスから隔離して学ばせるべきだと発言)。
反民主主義的な発言をする党員がいる(戦争に対する反省への攻撃、血統による排外主義、報道の自由の軽視)。
民主主義体制を守るために、政党や組織も調査されている(それによってAfDが極右政党と判定された)が、その機能が失くされる可能性がある。

このように批判されているにもかかわらず、なぜ人気があるのか。logo! ではこのように説明していました。

(コロナ禍や戦争のため、仕事や生活が困難になり、不安を感じている人たちは、今の政治に対する不満が高まっていて)変化を望んでいる。
AfDならば それを解決してくれると、7人に1人が感じている。
(国境管理を厳格にして、国内にいる難民の多くを送還するという)AfD の移民政策に、10人に3人が賛成している。
(治安悪化を減らし、安全を強化するという)AfDの政策がよいと、10人に3人が感じている。

知らないこともいろいろ聞くことができ、基本的な理解ができて、たいへん助けられた番組でした。

番組では、「今、私にも投票させてほしい、私たちの未来を決めることなのだから」と訴える14歳の女子生徒たちもいて、びっくりしました。投票日に放映されたのはこういう内容でした。

『logo! 2026年9月6日放送』

logo!: logo! vom Sonntag, 6. September 2026 | KiKA
Sachsen-Anhalt wählt einen neuen Landtag. logo! ist vor Ort und berichtet aus Wernigerode, wie die Wahl ausgegangen ist …

実際に、投票結果が出てからは、次々と専門家の話が出ています。時間が経つほど、さまざまなことが言われるので、ぜんぜん内容についていけません。

こちらは、選挙前に報道された、DW デーヴェー(Deutsche Welle ドイチェ・ヴェレ)の YouTube です。

ネオナチなどの極右の人たちは、AfD支持者の約3割だといわれます。約6割は、難民排外主義だと言われますが、ザクセン=アンハルト州は、移民が少ない州で、むしろ、介護などの人手不足を難民によって補われているのだそうです。

ザクセン=アンハルト州の投票率は、前回の約60%から、約80%に上りました。政治に無関心だった人たちが、現政権に不満をもち、それがAfDへの投票に流れたといわれています。

(5%の得票があれば、議席を得ることができます。過半数であれば、単独でも政権を執ることができます。半数に足りなければ多党と組む必要があります。それで、これまでは、AfDとは組まないという「防火壁」が効果を発揮していましたが…)
(今回は「防火壁」に加わらないBSWが5議席を獲得したため、そこがAfDと組めば、半数の42を超えてしまう可能性が出てきました。)

ザクセン=アンハルト州での街頭インタビューでは、意見が大きく分かれていることが伝わってきました。

AfDに投票したという人は、とにかく世の中を変えてほしい、彼ら(AfD)に試させたい、という意見や、政治のことはわからないけど、感じがいい人たちだから、という意見が聞こえました。

(彼らの多くは、マニュフェストを読んでいないのだ、という専門家もいます。)

落胆した人たちの意見には、けっこう深刻なものがありました。

高齢の男性は、どこから憎しみがくるのか、なぜ憎しみを訴える人々が魅力的に見えるのか、私たちは何も学ばなかったのか、といって涙ぐみ、しかし、私はここに留まる、といっていました。

若い女性は、憎しみと暴力の場所はいやだ、怖い、私はここを離れる、まずはマークデブルク(ザクセン=アンハルト州都)から、もしかするとドイツを、離れる、といっていました。

ベルリンなどで、AfDへの抗議デモがありました。(Deutschlandfunk より)