Berliner Philharmonie ベルリン・フィルハーモニー

歴史

『ベルリン・フィル – 栄光と苦闘の150年史』芝崎 祐典 著(中公新書)を、日本を発つ直前に走り読みしました。

残念ながら、日本に送り返された船便小包のなかに入れていました。記憶力が悪いので、内容を紹介できないのが残念ですが、豊富な資料に基づいた、説得力と臨場感のある歴史書です。交響楽団がドイツ建国に強く結びついていたことを教えてもらいました。

第3代常任指揮者フルトベングラー像
プレトークのホールにはYAMAHAピアノが置かれています。
カラヤンとベルリン市長。終身指揮者としての雇用契約の際の写真だそうです。
1955年、初のアメリカ・カナダ巡回演奏会
カラヤンはナチス党員に登録していたため、激しい抗議も受けました。

私たちは、このところ2回続けてベルリン・フィルを訪れました。ただし、管弦楽団も指揮者の Kirill Petrenko キリル・ペトレンコさんも海外遠征中の期間です。

1回目の訪問は、日本人楽団「Originalklang Bach Collegium Japan 古楽器演奏 バッハ・コレギウム・ジャパン」による『ブランデンブルク協奏曲』全6曲の演奏です。小ホールで行われました。

私たちはステージ背後の離れた座席にいたので、古楽器の細かい様子はわかりませんでしたが、音色の明るさや素朴さはよく伝わってきました。

トランペットとホルンは、バルブが一切ない、ただの筒っぽです。どうやって唇だけであれだけ広範囲の音を吹き分けることができるのか、不思議でなりませんでした。残念ながら音程はたびたび外れていましたが。

指揮は、チェンバロを演奏しながら同時に行われました。私はチェンバロは濃淡がなくて退屈という偏見をなんとなく持っていたのですが、それは大きく覆されました。第5曲の演奏では、スピードと正確さとその抑揚に、圧倒されるようでした。

チケットは完売だったそうです。聴衆のほとんどは年配の人たちでした。

最前列の2人がホルンを体に巻き付けています。チェンバロ奏者兼指揮者の向かって右隣のコンサートマスターが持つのはピッコロ・バイオリンです。指板がとても短くて正確な音程をとるのが難しそうに見えます。

2回目の訪問は、大ホールで、RSB:Rundfunk – Sinfonieorchester Berlin(ベルリン放送交響楽団)による演奏でした。

RSB は、Rundfunk(ラジオ放送)とあるように、1923年にラジオ放送が始まると同時に誕生したオーケストラです。

先ほどの本でも紹介されていますが、ドイツ建国に深く関わりがあり、東西分裂の際には東ドイツ所属となりました。

この楽団は、現代音楽を積極的に演奏する方針なのだそうです。今回は3曲が演奏されました。

1曲目
Samy Moussa サミ・ムッサ
Adgilis Deda, hymn for orchestra
オーケストラのための賛歌『アドギリス・デダ(地の母)』2024年

まさに賛歌でした。シンプルなメロディーのダイナミックな曲です。なんども押し寄せてくる波に、こちらの感情が引き出されて乗せられるような感じがしました。

2曲目
Kaija Saariaho カイヤ・サーリアホ
‟Transˮ, Concerto for Harp and Orchestra
ハープとオーケストラのための協奏曲『トランス(Trans)』2015年
Xavier de Maistre harp
ハープ:グザヴィエ・ドゥ・メストレ

2曲目はハープ独奏とオーケストラの協奏でした。

この作曲家は、ライプツィヒで観たオペラ『イノセント』を作曲した人です。あのオペラ曲も重くて暗くて難解でしたが、この曲もそうでした。拍が一定しない不安定さに、無邪気には聞かせないものがありました。これを一糸乱れず演奏するのはきっと大変ですよね。

ハープ独奏というのは初めてでしたが、ハープでこんな音量が出せるのかというような力強く明確な演奏でした。

3曲目
Dmitri Shostakovich ドミトリー・ショスタコーヴィチ
Symphony No. 6 in B minor, op. 54
『交響曲第6番 ロ短調 Op. 54』1939年

その緊張感と、前へ前へと駆動していく演奏に、終始、引き込まれて聞いていました。もしも何か楽器の演奏ができるのなら演奏してみたいと思ったほどです。

この楽団の指揮者は Vladimir Jurowski ウラディーミル・ユロフスキーさんです。

ステージ背後の客席からは指揮者の様子がよく見えました。繊細で、大胆で、冷徹な印象を受けました。

腕が長くて手が大きいのは、指揮者にとって大きなメリットだと思いますが、さらに彼の手の動きは、まるでマジシャンのように柔軟で無駄がないので、視覚的にも楽しませてもらいました。

聴衆の多くは20~30代の人たちだったのには驚きました。拍手がなかなか鳴りやみませんでした。