また Berlin Ensemble Grosses Haus (ベルリン・アンサンブル 大劇場)にやってきました。
ギリシャ悲劇の「Antigone アンティゴネ」です。こんな古典ですが、チケットは完売、老若男女の人々で満席でした。
今回は立見席でした。席の指定はありませんから、早いもの順で場所を選べます。ただ、立見席のドアは、30分前まで施錠されていて入れませんから、解錠時刻を見計らって行くのがいいと思います。
数人が入れるボックスですが、前よりも、後ろのほうが、視界が広くなります。


演出家は、Johan Simons ヨハン・シモンズ。彼自身が、家庭内暴力のトラウマを抱えていて、そこからこの家族を理解しようとした、と書かれています。
そして、クレオ王は、むしろ臆病な人間で、そのため権力の行使において間違いを犯してしまった、と見ているそうです。
俳優は、古代ギリシャで当時、行われていたと同じように、たったの3人がさまざまの役柄を分担して演じます。演じる役柄は、想像するところ、次のとおりです。
★Jens Harzer イェンス・ハルツァー という男優は、アンティゴネと、婚約者の王子ハイモン役。
★Constanze Becker コンスタンツェ・ベッカー という女優は、王クレオーンと、王妃エウリュディケ役。
★Kathleen Morgeneyer カトリーン・モルゲネイヤー という女優は、アンティゴネの妹イスメーネや、長老たち、番人、盲目の預言者などの役。
何もかもを切り詰めた、とてもミニマムな舞台です。道具も服装も、色は白と黒、そして血の赤だけです。光も白い光で、影の黒が巧みに使われます。
音楽もほとんどありません。小さな音で、雅楽が1回と、教会の鐘の音が1回、流されるだけです。セリフの言葉だけが、劇を進めていくようでした。
回転する巨大な四角いトンネルは、王宮と権力を象徴しているようです。幽閉される岩屋にもなります。
今回の演出は、ヘルダーリン翻訳による、と書かれています。もちろん、私は日本語でしか読んだことがありません。
始まりのセリフは詩の形式でした。私は詩が苦手です。詩になるととたんに、平易なドイツ語でも、意味をとれなくなります。結局、始めから終わりまで、何を言っているのか、さっぱりわかりませんでした。
ただ、詩のセリフは、ことばの存在感が違うなと感じました。意味がわからない私でも、そうだったのですから、きっと、ドイツ語がわかる人たちにとっては、ことばが食い込むような緊迫感があっただろうと想像します。
何も聞き取れないで終わりましたが、ラストシーンからは、静けさと慰めが伝わってきました。


