マタイ受難曲

くらし

こちらに来て4回目の日曜日です。

今日からの1週間が Karwocheカールヴォッヘ(受難週)、次の日曜日からの1週間が Ostanwocheオースターヴォッヘ (イースター週間)です。

テレビ塔の隣にあるMarienkirche マリエンキルヘ (聖マリア教会)へ 「マタイ受難曲」を聞きに行きました。

最寄りの Alexanderplatzアレクサンダープラッツ駅で下りると、すれ違う老婦人たちが、ビルを見上げて「今日はブランコが出てないね」と言っています。

視線の先には、うわさの世界一高いブランコの設置場所がありました。あんなに高いのですね。

教会コンサートは、すべて自由席で、会場時刻前には、すでにたくさんの人が行列をつくっていました。列の最後尾に並んで、前にいる人から「日本はいいね。トイレがきれい」などと言われたりしながら、寒い中を待ちました。

ドアが開かれるとすぐに、広い教会のなかが人でいっぱいになりました。

J.S.バッハのマタイ受難曲を聞くのは初めてです。途中で休憩をはさんで2部に分かれる長い曲です。内容がわからないだろうから、ざっとテキストを読んでおきました。

最後の晩餐から、弟子たちの否認、イエスの捕縛、裁判、十字架への磔などが描かれます。ソプラノ、アルト、テノール、バスのソリストが、いろいろな役柄を分担しながら、物語が進みます。

受難曲だというのに、曲調は明るく、希望に満ちていて、意外でした。

おもしろいのは、合唱団が2つもあることです。一つは、多くが男性の声で、民衆の心をうたいます。磔刑の場面では、滅ぼせ! 裏切り者を! とイエスをなじったりします。もう一つは、子どもの声で、神への讃嘆や信仰心をうたいます。

教会ですから、残響がすごくて、言葉がはっきりしないのですが、後ろのほうに座っていた私たちのところにも、テノールの歌詞がきちんと聞こえてくるのには、驚きました。テノールソリストは、福音史家というナレーションのような役柄だったので、この技術がとくに大事なのだろうなと想像しました。

ほかにもびっくりしたのは、小学生くらいの子ども3人が連れてこられて、聞いていたことです。2時間15分ものあいだ、じっと静かにしていました。

それから、中休憩が10分近くありましたが、教会の椅子は狭くて、みんなその場からほとんど動かないのです。私は硬い椅子で体がこわばっていたので、あちこち伸ばして動いていましたが、みんなじっとその場に突っ立っていました。

サマータイムに変わったので夕暮れが遅くなり、19時に始まったコンサートが終わるころにやっと、ステンドグラスの向こうが暗くなりました。