Staatsoper シュターツ・オパー(ベルリン国立歌劇場)

ことば

ベルリン国立歌劇場は、Unter den Linden ウンター・デン・リンデン(菩提樹の下)という名前の並木道に面していて、周囲には歴史的な建築物が並んでいます。

並木道の右側に見える、ピンク色がかった建物がベルリン国立歌劇場です。左側(通りの向かい側)にあるのは、「Humboldt-Universität zu Berlin(フンボルト大学)」です。
斜め向かい側には、以前、訪れた「Neue Wache ノイエ・ヴァッヘ (新衛兵所)」があります。ケーテ・コルヴィッツ の「死んだ息子を抱く母親(ピエタ)」が置かれているところです。
この Bebelplatz ベーベル・プラッツ(広場)は、1933年5月10日に、ナチス政権による焚書が行われた場所で、それを記念して地下にモニュメント「Bibliothek ビブリオテーク(図書館)」が設置されています。前回、訪れたときは雨の後で、地面のガラスからは何も見えませんでしたが、今日は少しだけ見えます。2万冊(焼かれた本の数)が収納できる空っぽの書棚なのだそうです。
国立歌劇場の建物の裏側
Bebelplatz ベーベル・プラッツの南には、「St. Hedwigs-Kathedrale セイント・ヘドヴィッヒス・カテドラーレ(聖ヘドヴィッヒ聖堂)」があります。ここにも以前、立ち寄りました。ベルリン最古のカトリック教会です。1階と地下とが「天と地」を表現しているという、議論の多いデザインになっています。
広場の西側には、「Alte Bibliothek アルテ・ビブリオテーク(旧王立図書館)」があります。その曲線美から、Kommode コモーデ(引き出しタンス)と呼ばれるそうです。

このベルリン国立歌劇場はもともと(あのサンスーシー宮殿の)Friedrich Wilhelm 2世の命によって、1741年に建てられたそうです。

火災や戦争のため、なんどか再建されます。東西に分かれていた時代には旧東ドイツに属していました。

1955年のベルリン国立歌劇場

現在の建物は、2010~2017年に大改修されました。フリードリヒ・ロココのデザインを忠実に取り入れながら、音響効果をよくするために、特殊なセラミック素材を使ったり、高天井にしたりするなどの改善がなされたそうです。

国立歌劇場の Garderobe ガルデローベ
Otmar Suitner オトマール・スイトナーは、1964年からここの音楽監督を務めた指揮者で、たびたび来日して、NHK交響楽団では名誉指揮者とされているそうです。
最上階の右端(14ユーロ)の席です。(ちなみに入場料は100ユーロから)
残念ながら、見える舞台の範囲は全体の半分以下です。

今日は、今期の最終公演ということもあってか、チケットは完売でした。

演目は、Mozart モーツァルトの「Die Entführung aus dem Serail ディー・エントフュールング・アウス・デム・ゼライ(後宮からの誘拐)」です。

誘拐されてトルコ宮殿に囚われた恋人を、スペイン貴族が救出する、という内容の劇で、1782年にウィーンで初演されたそうです。

「Die Entführung aus dem Serail (後宮からの誘拐)」

Singspiel ジングシュピール といわれる形式で、音楽のないセリフが入る歌芝居です。

しかも、全く歌わない人が出てきます。太守セリムといって、劇の最後のどんでん返しで、とても重要な役回しをします。

その人に、Bülent Ceylan ビュレント・セイラン という人気コメディアンが充てられました。これが、今回の演出の議論を呼ぶところになっています。

彼は、ドイツ人の母とトルコ人の父を持ち、それが持ちネタのようでもあります。方言で話したり、人真似をしたりして、会場を笑わせます。

私にはドイツ語のギャグはほとんど聞き取れませんでしたが、なんとか聞き取れた数少ない一つはこういうものです。

ドイツ語には、男性・中性・女性名詞がある。たいていの国は中性名詞で、たとえば Das Deutschland (ダス・ドイチュラント)という。けれども、なぜかトルコは、女性名詞で Die Türkei(ディー・トゥルカイ)という。ならば、大統領は、Erdoğan (Er=彼)エルドアンではなくて(Sie=彼女)Siedoğan ジードアンじゃなければ、というものでした。

つまり、「後宮からの誘拐」とは全く関係のないギャグが、物語を中断しては何度も入りこみ、それを観客たちが笑う、というふうでした。

また、ライブカメラで、役者が舞台上から撮影する様子が、サイドのスクリーンに大写しになります。役者の演技を 楽屋から眺めているような気分になります。

もともと舞台の背景には、海水が波うっているのがずっと映し出されているので、まるで海のそばにいる気分になって、物語のなかに入っていくように仕向けられているのに、一方では、ライブカメラでそれが異化される というふうなのでした。

あるいは、情感たっぷりに歌われるソロの曲のときには、ほかの役者がそれを茶化すように仕組まれていました。宮崎駿のアニメなどでも よく見られる手法ではありますが、歌手たちに不満はなかったのかな、と思ってしまいました。

歌唱力はさすがでした。ソプラノには、対照的な声質の2人が充てられていて、それだけでも楽しかったです。コンスタンツェ役の Adela Zaharia アデラ・ザハリア という人は、難度の高い曲を、豊かで細やかな抑揚で、オーケストラと見事に共演するので、うっとり聴き入りました。

Friedrich Wilhelm 2世の銅像が、Staatsoper ベルリン国立歌劇場そば、Unter den Linden ウンター・デン・リンデン通り中央に あります。DDR時代には(多くの銅像が金属利用するために融かされましたが)隠して移動されて、融かされるのを免れたのだそうです。
2020年に新しく作られた Unter den Linden ウンター・デン・リンデン駅です。U-5番線とU‐6番線が交差する 新設の駅です。ただ、ベルリンは湿地のため、工事が難航したそうです。重要な建築物がある場所なので、地盤沈下を防ぐため、なんと地下水を凍結させながら工事を進めるなどして、10年近い年月がかかったそうです。